
公安で育てられた少女・新呂は、桜の美しさを享受する暇もなく、猫探しに奔走していたそこで出会ったのはヘドロ事件の爆豪勝己。出会い頭に顔面を爆破されながらも、引き続き迷い猫を探す『あんなに愛されてるのに、どうしてお家から抜け出そうなんて思ったんでしょう』「……どんだけチヤホヤされてたって、気分が良くねぇ時もあんだろ」こうして、偶然の出会いはそれまで……かに思われた

敬愛するヒーロー・ベストジーニストの下へ行くため、雄英高校ヒーロー科へ進学をした新呂入学式当日
意気揚々とバリアフリーのドアを開けると、そこには猫探しの時の彼が「新呂テメェ、ピーチクパーチクうっせぇんだよ!!!」「キメェんだよ死ねクソ!」「んでテメェごときに手の内明かさなきゃいけねんだカス!」親指を下に向けられることなど日常茶飯事。数々の罵声を浴びながらも、構わず話しかけ続ける新呂自身が公安所属であることを唯一知っている彼に信頼を寄せていた

対人戦闘訓練にて、緑谷に負けた爆豪。公安のデータベースでヘドロ事件の真相を目の当たりにした新呂は、どうしても爆豪を目で追ってしまう「こないだからうっぜーんだよチラッチラチラッチラ様子伺いやがって!」心配は、彼のプライドを傷つける。そう分かっていながらも声をかけずにはいられないそうして、レスキュー訓練当日
ヴィランの襲撃に遭ったA組生徒は九死に一生を得る。奥の手を使った新呂は平然としていた『爆豪さん、雨はお嫌いですか?』「んでそんなこと、テメーに教えなきゃいけねーんだよ」二人が分かり合えるのは、まだまだ先の話だ

新呂はベストジーニストの元での職場体験にこぎつこうと必死だった。爆豪に宣戦布告をするほどに。捨て台詞を吐かれながらも、着々と準備を進める新呂。マイヒーローのために負けられないのであるそして雄英体育祭当日
第一種目で惜しくも4位となった新呂。落ち込みながらも第二種目、騎馬戦へと頭を切り替える。爆豪からの勧誘を受け、いざ尋常に勝負が始まる「1位だ…ただの1位じゃねぇ、俺がとるのは、完膚なきまでの1位だ…!」新呂の目の前が、鮮やかに色づいていく。やるなら徹底。完璧主義な彼の背中は、ベストジーニスト以来の衝撃だった物間からとんでもない煽りを入れられつつ、爆豪チームは決勝への進出が決まる。公安で鍛えられた技術を駆使しながら、順調に勝ち進んでいく新呂轟との決戦
入念な準備もあってか、パズルのピースがハマっていくように勝ち筋を切り開く新呂。全てを出し切るつもりでつららに足を突っ込む。そうして勝利を確信した次の瞬間……「ギリギリだったけど新呂さん、先に場外!!!」最後の最後ですっ転び、惜しくも銅メダルとなってしまうまた、新呂は気がついていなかった。彼女が極限まで集中した時、瞳が鷹の様相を呈していることに。そしてその瞳に、惹かれる人物がいたことも

さて、なぜ新呂は最後にコケたのか。大事なところでドジを踏むという彼女の性質を抜きにしても、何もないところで転ぶほど運動神経は悪くない『ひょっとしてこのペンダント、轟さんのですか?』見せた瞬間、ハッとしたような表情を見せる焦凍。それを受け取り穏やかに言う「……なくしたらなくしたで、いいと思ってるんだけどな。不思議となくなんねぇんだ」10年以上昔のある1週間。その記憶を、新呂はすっかり忘れていた


ジーニストラバーとして一躍有名人となった新呂。体育祭での様子が切り抜かれ、彼女は立派な「ネットミーム」と化してしまったそれに追い討ちをかけるように爆豪と大喧嘩が勃発。頭を冷やし謝ろうとした新呂だが……「俺は許さねぇから謝んな、死ね」切島、芦戸のアシストも虚しく、爆豪の一言によって二人の溝は更に深くなってしまうその後も頑固でヤンキー気質な二人の熱は冷めることなく、むしろヒートアップする一方だ。最後にはグラウンドでケンカを始める始末そんなこんなで拳を交えた二人は、なんとかお互い歩み寄ることに成功したのだった

都会の空は、雄英のそれとは違って見えた。いざ始まった職場体験で、爆豪は新呂の憧れであるベストジーニストの洗礼を受けていた他人事と思っていた新呂もまさかの矯正側。ショックを隠しきれないままその理由を問う「体育祭でのギラついた目を見て確信したよ。君も本音では、常に周りに勝ちたくて仕方ない人間のはず自我が芽生えたての子供は、好奇心旺盛で何事も調整がおぼつかない。まるで雛鳥だ。破滅に向かう可能性は充分にあると判断した再三言うが、ヴィランもヒーローも表裏一体……
君を、矯正させてもらう!」そんなこんなで始まった職場体験。トップヒーローの元で二人は街のパトロールへと向かった。変わり映えしない日常を眺めるだけのそれに、爆豪はくすぶっていたしかし対照的に、新呂は一見普通の男に目を光らせるここで明らかになったのは、新呂の持っている特性だった。
「桁違いの洞察力」個性とも経験則とも違う天賦の才対人においての記憶力もずば抜けており、公安が管理する容疑者数千人の情報を、彼女は常に頭に入れている。公安が新呂をどうしても育てたがった理由の一つだ

職場体験も終わり、二人は帰りの新幹線に乗り込む。爆豪は妙な違和感を拭いきれないままだった。ベストジーニストにあまりにも傾倒している新呂。聞かざるを得なかった「お前にとってジーパン野郎は何なんだよ」少し迷ったような表情をみせながらも、新呂はとつとつと語り出す。雨の降る外に目を向けながら、誰にも教えたことのない過去を「……爆豪さんだから言いました」それから数日後、休日に轟と出くわした彼女は、轟家で過ごしていた時のことを思い出す。しかし公安所属の彼女は、そのことを伝えられるわけもなかった轟は、新呂があのペンダントをくれた少女だと知らぬまま話を続ける律儀にも、いつか返したいと思っていた。なぜならあの少女は、「……初恋なんだ」新呂はペンダントを受け取った。轟の思いを断ち切るために。もう彼が、あの少女を思い出さなくていいように

あれよあれよという間に演習試験が始まった。爆豪と緑谷は、対オールマイトで課題クリアへと向かう片や打倒オールマイト、片や逃げの一手。最強のヒーローであるオールマイトを打ち負かすなど、並大抵の根性ではない。それでも、爆豪には立ち向かわなければいけない理由があった「勝つんだよ、それが…ヒーローなんだから」オールマイトを出し抜くために、爆豪は緑谷に道を譲った。今はまだ、それでしかオールマイトに敵わないと、そう判断したから自分を曲げて曲げて、それでも勝利を掴み取れないのは嫌だ。彼のそんな思いが、緑谷を突き動かした

そして始まった林間合宿。今まで学校生活と縁がなかった新呂にとって、修学旅行にも似たこの行事は新鮮だった炊事に訓練、そして肝試し。万全の体制で挑んだ林間合宿、当然ヴィランなど入り込む隙はないと、誰もが思っていた彼女は蒼い炎が何よりも苦手だ。それはもう、プライドや思考力、その他もろもろを手放してしまうほどにきっかけはどうしても思い出せない「なぁ、泣くなよ。俺が怖がらせてるみたいじゃないか」皮膚がケロイド状になった彼は、ターコイズブルーの瞳を妖しく揺らす「俺を見ろよ」何も、思い出せないそんな炎の中でも、彼女は身を投げ出し助けに行く。爆豪は彼女にとって初めての、家族のような存在だからそして何より……ベストジーニストの言葉が、彼女のオリジンだった「君の母親が極悪人だったとしても、私は助けたよ。救いたいと思ったら……救うべきなのだから」そうして新呂が差し伸べた手は、爆破で振り払われた生徒41名の内、ヴィランのガスによって意識不明の重体15名。重・軽傷者12名。無傷で済んだのは13名そして……行方不明、1名彼女たちの楽しみにしていた林間合宿は、最悪の結果で幕を閉じた


二日後、病院のベッドで意識を取り戻した新呂は一粒の涙も流さなかった。なぜなら彼女はまだ、何も諦めてはいなかったから公安とコンタクトをとり、なんとしてでも情報を得る。目の前で奪われた新呂にとって、上が動くを待つ選択肢はなかった「爆豪くんきっと…みんなに救けられんの、屈辱なんと違うかな」そんな麗日の言葉が、新呂に突き刺さる。悔しさと悲しさが入り混じり、あの時手を取ってくれなかった事実を嫌でも考えさせられるそれでも新呂は止まらなかった。敵のアジトへと近づき、5人で息を潜める脳無格納庫の入り口を吹っ飛ばしたマウントレディ。すでにヒーローが動き出していたと分かり、皆で胸を撫で下ろすそして聞こえてきたのは、ギチギチッという、聞き覚えのある繊維の音「脳無格納庫、制圧完了!」No.4ベストジーニストの登場に安心したのも束の間、新呂は例の勘が働き、一人冷や汗を流していた一瞬の爆発。何をされたのかわからない、動けない。みんな壁に背を張り付け、必死で堪える。圧倒的恐怖、天敵が襲いかかってきたような感覚「せっかく弔が、自身で考え自身で導き始めたんだ。できれば邪魔はよして欲しかったな」振り向くことさえ…何が起きたのか…1秒にも満たない…それでも その男の気迫は…彼女やたちに【死】を、錯覚させた。「さすがNo.4!ベストジーニスト!!僕は全員消し飛ばしたつもりだったんだ!皆の衣服を操り瞬時に端へ寄せるとは!判断力・技術…並の神経じゃない!」ベストジーニストの聞いていたのとは話が違う。世界最凶のヴィランは、表には出てこないという話だった「……だからなんだ!」ベストジーニストは動かぬ体を、繊維を使って無理矢理奮い立たせる「一流は、そんなものを失敗の理由に……!」迷わず、勢いよく標的に繊維を伸ばすが、人差し指一本で腹に大穴を開けられた

爆豪を救出した少年少女は、オールマイトの最後を目の当たりにする。みんなが一つになって、オールマイトを見届けたたとえその身が打ち砕かれようと、その瞳は依然として“平和の象徴”日本中が彼の背中を押し、守るための拳を突き上げてくれと願うとてつもない規模の爆風煙幕が晴れて最初に見えたのは、相手のヴィランが地に伏せている姿。オールマイトは震えながらも、拳を天に突き上げたマッスルフォームでカメラに向け、私たちに勝利を告げる

ベストジーニストは、活動休止を余儀なくされるほどの重傷を負っていたぶつかり合ってしまうのは想定内だったのに、それでもお互い一人になりたくなかった救出に向かったことで、新呂はピアスをしなくなった。公安から何か言われたであろうことは、爆豪の目にも明らかだ入寮が始まったその日、新呂は爆豪からあるものを渡される。彼女が公安から没収されたばかりのそれを怪我が治りやすい彼女は、すでにピアス穴が塞がってしまった。いずれ自由になれたその日、爆豪からの贈り物をつけると心に決めたのである

夏休みも終盤に差し掛かったところで、新呂は新たな出会いをする「なんで僕が、わざわざ君に教えなきゃいけないのかな?」体育祭で爆豪をコケにした、無敵の物間寧人。発目と新呂の約束に巻き込まれ、これまた猫探しへと向かう無邪気で明るい新呂の姿は、まぁ嫌いではないらしい加えて新たな出会いといえば、ミッドナイトとの必殺技訓練。中断されてしまった合宿での「個性伸ばし」これから後期始業までの夏休みは、圧縮訓練となる公安での戦闘力を上げる訓練は、体術や剣術などだった。しかし、それらは全て「奥の手」であり、雄英入学がなければ必殺技を編み出すこともなかったのだ潜入をしてヴィランに見つかってしまったら、とにかく逃げて逃げて、真正面から戦わない雄英で過ごすうちに、自力で戦える術をブラッシュアップをしてきたが、決定打となるといまだに思いつくものがない新呂は個性が視覚的に現れない分、感覚的に処理していることが多い。感覚を研ぎ澄ませて、自分の個性を理解する。ミッドナイトのアイドバイスで、新呂は一つの必殺技を身につけた運動感覚のトレースによって、相手の行動を予測する、名付けて
「ペインミラー」

そしていよいよ仮免試験。新呂が初めてそれに臨んだのは中学の頃だった。仮免の更新は2年ゆえ、みんなが仮免を取得するこの機会に、彼女も取り直すことになった。滅多なことがない限り、落ちることはないだろう多古場競技場でバスを降りると、清々しいほどの青空が広がっていた。A組一同、いつもの掛け声で気合いを入れようとしたその時だった。予想外の方向から、はりさけんばかりの声で被せられる周囲がざわざわとし始める中、爆豪はつぶやく「東の雄英。西の士傑」数あるヒーロー科の中でも、雄英に匹敵する程の難関校……士傑高校だ「ご存知なんですね」と新呂が声をかけるが「黙れ、ご存じに決まってんだろブチ殺すぞ……!」最近やっと仲良くなってきたかと思えば、入寮が始まってからしばらくして、なぜか当たりが強くなっている爆豪と新呂の関係とは裏腹に、特に問題が起きることなく終了した仮免試験新呂は余裕の表情で掲示板を確認するが……その結果は、なんと不合格!公安が行った仮免取得試験で、公安所属の人間がまさかの【仮免剥奪】ホークスに、会長に、目良に、職員らになんと説明すればいいのやら

その夜は、昨日よりずっと冷え込む気がした。残暑とはいえ、すっかり日が落ちた空気は秋の様相を呈する「かっちゃん…!どこまで行くんだよ」当然返事はない。いつからだろうか。いつまでなんだろうか。緑谷にとっての当たり前は、どうしたって健全じゃなかった「マズイよ、こんな夜中に出歩いて…」緑谷は混乱していた。爆豪はいくら声をかけても、返事なんかしてくれないし、振り向いてもくれなかった「ねぇ」感情の読み取れない背中に向かって、それでも声をかけ続ける思い出すのは幼少期。森に虫取りに行った時も、川へ探検に行った時も、近所の公園で遊んでいる時だって……いつだって緑谷は、その背中を追いかけていたついた先はグラウンド•β。爆豪が初めて緑谷に負けた場所だった。そこで爆豪は緑谷を問い詰める。OFAの真実に、自力で辿り着いてしまったここで戦えと、爆豪はそう言った。怒りとも憎しみとも取れない表情で、だんだん歪んでいくずっと同じ人を見ていたハズだ。絡まって片結びになった糸は、もうどうしたって解けない。お互いそうやって諦めて、ずっと停滞していたように思う。もうそれで、良かったかもしれないのに「戦えよ!なんなんだよ!何で!!何で!!ずっと後ろにいた奴の、背中を追うようになっちまった!クソザコのてめェが力をつけて…!オールマイトに認められて…強くなってんのに!なのに何で俺はっ……!俺は、オールマイトを終わらせちまってんだ……!!!」その思いを受け止められるのは、緑谷しかいなかった
